「実は、この大量の菌の中には秘密裏に改良した特別な茸の菌が数種類あるんだ。」
にこりと微笑みながら銀河が委員達に菌が入った箱を取り出して見せた。
委員達は茸の菌を輝く目で一斉に見つめた。
「新種の茸を作ったのですか?」
三原が嬉しそうに銀河に問い掛ける。ほかの委員達もまるで新しい子供でも生れたかのように喜んでいる。茸をこよなく愛する委員達にとって茸は家族よりもかけがえの無い存在なのだ。
口々に質問してくる委員達に大げさの仕草で口に手を当て「静かに」と囁くように注意する。
皆が落ち着くと静かにいすに座り髪をかきあげてみせた。その行動に何の意味があるんだ?とつっこむ常識をもった人物は残念ながらこの委員には存在しなかった。銀河はテーブルの上のワイングラス(中身はブドウジュース)を手にとりそれを掲げながら叫んだ。
「皆!撲滅委員会から我等の茸を守る同胞に祝杯を!!」
あんたの声が一番でかいんだよ!とはやはりだれもつっこまない。
銀河はグラスをテーブルに置くと(←飲まんのか!!)委員達に新種の菌と罠について説明しだした。
「新種の菌は3種類。一つ目は、そうだな、幻惑茸とでも名づけようか?この茸から飛ぶ胞子を吸うと三日三晩幻覚に悩まされる。」
委員達から驚きの声があがる。
「二つ目は動けずの茸と名づけた。何も知らない撲滅委員がこれを踏みにじったが最期!やつらの感覚は麻痺してその場から動けなくなる。」
さらに銀河は続ける。
「最後は爆破茸!衝撃を与えると大きな音で爆発する!!なんかビックリするが怪我はせず人体に無害な優しい茸だ!!!!。」
すると銀河の説明を聞いていた委員の一人が質問した。
「たしかに素晴らしい茸ですが、どれも狩られなければ効果を発揮できないのではないですか?」
委員達に動揺が広がる。茸が狩られるということは、すなはち茸の死である。
「たしかにそのとおりだ。これらの茸は狩られることを前提に作られた茸たちだ。」
銀河がすこし悲しそうにうつむく。
「しかし、君達にならわかるだろう?散りゆく茸の美しさと儚さが。彼らは撲滅委員たちと戦うために生れてきたんだ!ならば僕達は彼らを育て上げ撲滅委員に茸の素晴らしさと恐ろしさを教えてやるんだ!!」
委員会たちが一斉に拍手をした。
委員会室に鳴り響くそれは鳴り止む事がなかった・・・。
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