血の味がした。
空はいい加減嫌になるほどの青さで、透通ったその色に自分の卑小さを突きつけられた気がした。
夏特有のアスファルトの熱さに背はもえた。
酷かった胸焼けが余計に酷くなり耐えれそうもない、かといって上体を起こすだけの力はもう残っていなかった。
逃げなくてはいけない、でももう足どころか指一本さえ動かない。
直に奴らは追い付いて来るだろう。
その事を認識して、ふいに。ああ、これで終りなのか。と思った。
さんざんに逃げた挙句が、屋上の隅でジ・エンド、なんて、ホントおもしろい程ありきたりじゃないか。
ククク、と咽喉の奥で笑おうとして血が絡んでうまく笑えない。
これは、いよいよ最期か。こんなんじゃあ奴らが来てもこなくても、放っておいただけで幕が降りるだろう。
ふと、手に持っていたものを見る。
自分達が、命をかけて守っていたもの。これを、奴らに渡すわけにはいかない。
私たちには、命をかけても護るべきものがある。
そのことを、誇りにすべきだ。
そう言ったのは確か委員長代理だったか。
その人も、今は何処に居るのかわからない。
今も、逃げ続けているのか、捕まったのか。
または奴らに”あれ”ごと狩られたか。
考えて、ギリと唇を噛み締めた。
どうしてこんな事に――――――。
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